午後3時

一本の電話


あの日を境に

僕の世界は

僕ではなくなって

僕の世界は

3時で止まった


あの日のままの

今日を生きる


あの人の右手

いつも寂しそうな

あの人の右手


ふと

気がついた


いつの間にか

似てきた


あなたの右手に似てきた


このままいけば

同じように猫背になって

同じよう滲んでゆく


ただ

あなたの歳を超えて生きて行く


だけども僕は

あの日で止まった

時を超え


僕はきっと、生きてゆく


あの日を越したその日から

あなたを超えて

あなたを背負って

生きてゆく


その日はきっと

何も無かったふりをして

時を刻んで追い越してゆく


もしもその日を迎えたならば


この世に産んでくれてありがとうと

礼をして


そして未来を紡げばいい


今を生きて

その日を目指して

明日を生きる


きっとそれが

寂しい右手への報いだろう


寂しい右手は

いつかのリレーを超えて

今日のリレーを迎えて超える


鮮明に滲む

絵の具のように

まるであの日ふいにきれた

親指のように


あの日を超えて

今日を超えて