秋風が冬風に変わる頃

風の音色は

音色とは呼べず

汽笛のような音をして

僕の頬をかすめるくせに、

ちっとも指で触れなかった


半ズボンのポケットに

夢のような未来があった


いつだって指で触れる事が出来た

僕だけの未来だ


だけどいつの頃か

僕の頬をかすめて消えて

知らないうちに

さようならとどこかへ行った


今僕は

汽笛のような風に

触れられている気がしている


だけどもそれは

きっとあの日の未来のように

ポケットに入れることは出来ない

不確かででもきっと

確かな日常なんだろう


あの日の汽笛に感じたものは

確かな寂しさと

微かな希望


ポケットにあった

それのような

微かな寂しさと

確かな希望