僕のおもちゃ箱には

僕が僕であることを知る前から

沢山のおもちゃがあった


誰に買ってもらったか

覚えてはいないおもちゃと

誰かが使い終わったおもちゃと

そして自分で選んだおもちゃもあったのだろう


一つ一つに魂があったに違いない


それぞれ満遍なく

それぞれの歴史があったに違いない


例えばそれは

永遠にボールがループするおもちゃだった


電気の力を借りて

重力の力を借りて

上がったり

下がったり

時には滑らかなカーブを横切って

騙されたふりをして

そしていつもの場所に戻っては

また騙されたふりをした


無限のループを見るのが好きだった


騙されたふりを

いつも新鮮に演じてみせる


そしてまたホッとしながら

滑らかに下るボールを見た


いつの頃か僕は

あのおもちゃをすっかり忘れて

いつの頃か僕は

新しい刺激に夢中になった


あの曲線を描く

おもちゃはどこに行ったのか


誰かが使い終わったおもちゃになって

誰かのループを演じて見せて

誰かがきっと騙されたふりを演じて見せて


あの頃の僕のおもちゃ箱


きっと今の僕が出会うことができるなら

夢中になって騙される


あの頃に戻って

あの頃のループの中で