例えば幸せのうちに終える夜

鏡の前に映る僕に

明日が最後の日ではないと

誰が言えるだろう


朝が来ない夢を見た

とても鮮明な夢とともに

ぼんやりと今日が始まった


溺れて死んだ少年は

昨日の今頃

そんなことなど思いも知らず

夢の中にいたに違いない


人は死ぬ

いつか死ぬ

今日かもしれぬ

明日かもしれぬ


今日死んでもいいように今を生きよと

人は言う


そんなことはできるはずがあるまい


今日死んだって

一定の後悔をし

一定の満足で終えるのだろう


ただ一つ言えることは

直近の今晩が

幸せのうちの終える夜でありますように


直近の今晩が

できうる限り

後悔にないように


ただそれだけのこと

ただ

そんな風な夜